花と眺望の鳳凰三山の戸田山学会







戸田山学会の登山便り

花と眺望の鳳凰三山

717日午後から19日まで鳳凰三山に挑戦しました。会として初めての南アルプス縦走です。

17日甲府駅前のシティーホテルに宿泊して翌日早朝夜叉神の登山口まで移動する予定を組みました。17日は成功を願って前夜祭兼暑気払いを行い、全員の気持ちが一つになりました。シティーホテルは安いところを探し一泊4200円を確保しましたが、なんと2900円でよいとか!最初から得をした気分になりました。(この気分が最後まで続けばよいのだが・・・)このホテルは「あづま」で055−228−5001です。機会があればご利用をしてください。

18日早朝4時にタクシーを予約しておきました。9人乗りワゴンタクシーで13000円。これも安い。私たちのパーティーは9人でタクシーに参加者を合わせました。(通常では4人乗りタクシーで夜叉神までは9000円です)芦安観光タクシー・055−288−2053、(285−3555)夜叉神までは約一時間、5時前に夜叉神の登山口につきました。55分出発。夜叉神峠まで約1時間20分の予定。夜叉神峠には615分着。(写真1)


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640分まで朝食休憩。

峠に近くにはすでにヤナギギランが咲いていました。(写真2)いよいよ本格的な登りに入ります。とは言っても最初は降りで(「もったいない」とぶつぶつ言う人がいましたが)肩透かしを食った感じです。それでもみんなはがんばりました。結構きついのぼりが続きます。40分に一回の休みを入れて歩きました。杖立て峠に着いた(写真3)


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イチゴ平を目指す登山道はところどころに野いちごがたくさんあり、歩きながら口に入れる人もいる。イチゴ平についたのが940分。夜叉神峠から丁度3時間でした。地図でのコースタイムでは4時間になっているのに、意外とみんなが早い。

そういえば荻野目弘さんが、「その区間は南御室小屋まで3時間30分で行けますよ」と言っていたのを思い出した。ここは山の要所で千頭星からくる登山道が合流しているところである。ここでも休憩。ここから、南御室小屋までは約30分、11時前には南御室小屋に着いた。大きな山小屋である。

水場であり、「南アルプス天然水」を十二分に味わう。誰もが「うまい」を連発している。ここで大休止を取る(写真4)この後は、本日最後の急登である。約一時間、砂払いにつく。この砂払いに着く手前で、ピンクの綺麗な花が目に入った。思わず「ワー綺麗」と声が出る。

荻野目さんが「美雪ちゃんが綺麗な花に会えるよと言ってたの。本当だ!うれしい」と喜んでいる。タカネビランジである。(写真5)いたるところに咲き、今が盛りのようである。聞けば、鳳凰三山に咲く花のようである。この花には一同大満足である。


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北岳方面はガスっているため、頂上が見えない。ここまでくれば本日の目標地である、「薬師岳小屋」は近い。薬師岳小屋で休むのも、ここで休むのも同じである。ここでも大休止である。

そのうち、ガスが晴れてきて、広川原方面が見えるようになる。南アルプス林道の曲線がよく見えてくる。車が止まっているところは広川原では?などとわいわいがやがやである。薬師小屋に入ったのは12時30分ごろである。

早速受付の手続きにはいる。受付で名前と住所を書くと、アルバイトの女性が「あら!、私の家の近くだ」と驚きの声を上げた。聞くと蕨の南町に住んでいて、今はアルバイトでここで働いているとか。近くの人にあえてこちらも嬉しくなる。私の家からは、自転車でも10分くらいである。今度は近くで会えると良いですねと挨拶をした。

リュックを置いた私たちは三山の一つである、薬師岳に登ることにした。登といっても空身で10分である。ほぼ360度のパノラマが広がる頂上は十分な満足を与えてくれる。(写真6)頂上は広く、大きな岩が重なっているところに移動してその上に上る(写真7)韮崎方面、甲府方面、富士山も見える。「明日ここを通るけど、明日は分からないよ」などと言いながら、十分満足した薬師岳である。

小屋は大変な混みようである。予約をしないととまれない。実は南御室小屋で薬師岳小屋に泊まる人も受付をしていたので、私もFAXの控えを持って受付に行くと「戸田山学会9名さまですね」とすぐに確認してくれたのだが、ほかのお客を見ているとキャンセル待ちを告げられているのがわかる。予約をしていないと泊まれないのである。

われわれが歩いていると急いで追い越して行った二人連れの女性のグループがいたがあまり急いでいるので聞くと「予約していないので先の小屋に泊まらなければならないのです」との返事。そして「私たちを仲間に入れてもらえませんか」の要望が出された。小屋泊まりの人数を変更することもできないので、丁寧にお断りをした。後3時間歩かなければ鳳凰小屋に入れない。気の毒になってきたが仕方がない。小屋はかなりきつかったが、疲れていたせいか、私はすぐに寝てしまった。

翌日5時30分の食事を済ませ、観音岳、地蔵岳にむかった。登山道にはタカネビランジが至るところに咲いておる。石楠花もところどころに咲いている。観音岳で記念撮影をしてすぐに地蔵岳に向かう。(写真8)


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地蔵岳ではオベリスクにも途中までのぼった。オベリスクの下にはたくさんの地蔵がおいてある。子授け地蔵である。昔、村の女性が子供を授かるために地蔵を一体もちかえり、授かると二体持ってきたとのこと。

いよいよ下山である。鳳凰小屋までは25分でついた。鳳凰小屋からは青木鉱泉に行くつもりであったが、小屋の主人が「きついからやめたほうが良い、御座石温泉にしたほうが良い」と強く勧めるので、御座石方面に下りた。それにしても下りがかなりきつい。1800メートルを一気に降りる感じである。30分~40分で一度の休憩をとる。

やっとの思いで下まで降りていよいよ温泉である。が、なんと1260円とのこと。さぞかし立派な施設だろうと入るとそうでもない。「足元を見られた」感じがしたのは私だけではなさそうである。ほかの女性の人は一言二言不満を漏らしていた。得をした気分は最初の甲府でのシティーホテルだけである。救われたのは、われわれが9人パーティーであることから臨時のバスを手配してくれたのは助かった。後の話であるが、鳳凰小屋の主人と御座石温泉は親戚関係だとか・・・。話が見えてきた感じである。

降りて二日間は筋肉痛がかなりきつかった。3000メートル近い山を縦走して一気に降りてきたのである。相当こたえたのである。ひさしぶりの筋肉痛である。


念願の平ヶ岳へ

いつも至仏山から望む山に平ヶ岳があった。先日もアヤメ平から平ヶ岳が見えた。いつかはあの頂を踏みたいと前から思っていた。実はこの間、越後駒、巻機山と越後の山に意識的に入っていたが、残っていたのは平ヶ岳であった。アプローチが大変でテント装備で一泊二日の行程を覚悟しなければとも考えていた。大変なので高橋さんにも相談していたが、調べていくうちに民宿でショートカットのコースを案内してくれることが分かった。

伝の助小屋である。731日、戸田を19時に出発し、奥只見・銀山平にある「伝の助小屋」に入ったのが2205分である。小屋の人が教えてくれた道順が実に分かりやすい。「関越小出ICを出てシルバーラインに入り、トンネルの中にある点滅式信号を右折して突き当たりをまた右折、そのまま500メートルほど走ると水車のある小屋がそうです」。まったくその通りであった。

以前「越後駒」に行くときに枝折峠まで行く以外はこちらのほうに行ったことがなく、不安があったが小屋の人の言うとおりで着くことができた。小屋ではすでに休んでいる人もあり、静かに動かなければならない。買ってきたビールを水車の水で冷やし、23時まで登山予定の打ち合わせと前夜祭をかねて小宴会を行った。小屋の主人が予定どうり、弁当と地図を用意してくれていた。通常の山岳地形図には登山道が記載されていないので、小屋の地図と地形図を見比べて登山道探しである。「おそらくこの沢に沿って登るのでは・・・・」などといいながら探した。

翌朝315分起床。バスには全員で21名が乗車した。「前日までの話では13名だが・・・?」と思っていたら深夜24時ごろ石川県から8名のグループに来ることになったらしい。バスはほぼいっぱいである。まだ暗い中を4時にバスが出発。回りの景色は暗く分からない。帰りのときにダムの周りを走っていることが分かった。

バスの中で隣に座っている人に「石川県から来たのですか、大変ですね、あまり寝ることができなかったのでは・・・」と話しかけたら、隣の人は「あら!、松本さんでは・・。」と突然言われた。私はぜんぜん覚えてなくだいぶ焦った。「私よ・・。一月にニュージランドに行ったでしょう」と言われた。「あ・・!」。私の記憶になく相手が覚えていたのである。

実は今年の1月にニュージランドに10日間行った。その時の仲間である。20数名で行ったのであるが、私はその中でいつの間にか中心的な役割を担うようになっていて、私は覚えられても私が覚えるまではなっていなかったのである。まさかここでこういう形で再開するとは想像していなかった。

「世の中、悪いことはできないな・・・」などとつぶやいたら「お互いにね」とその女性がホローしてくれた。同行した会の仲間が笑っている。外が明るくなりだいぶ回りの景色が見えるようになってきた。ダムの周りを走るより、林道を走るのが長い。沢にそって走るがこの景色が良い。水量が豊富な沢は時には「ナメ滝」になり、尾瀬の「ナメ滝」を思いださせる。登山口には505分に到着。トイレ、水場もある。運転した「「おじちゃん」がコースの説明をしてくれた。登りのコース、どこで朝食をとるか・・・など。親切である。

例によってストレッチ体操後525分に出発。ゆっくり歩き出す。少し歩き出したら私たちの前を相当年配の人が歩いている。実は朝、「小屋の主が81歳になる人が参加してるんですよ・・・・、心配なんです」と言っていたのを思い出した。

追い越して五葉松に555分到着。ここで朝食をとる。まだ人が少ない。ここの近くで珍しい花を発見した。「サキホつつじ」である。(写真@)休憩後歩き出すと先ほどの年配の人が休んでいる。「失礼ですがお幾つですか・・・」。「81歳になります」、「奥さんは・・」、「76歳です」。ワーすごい。一同がビックリしたのは言うまでもない。「すごいですね・・」。聞けば百名山を目指していて、残りはわずからしい。われわれはだいぶ励まされた。途中「元気でいられたら70、80でも歩きたいな・・」「いや・・、私はいい・・」などと話す。

結構な登りが続くが息をはずませばながら後ろを振り返ると、荒澤岳が迫ってくる。遠くに越後駒も見える。登り始めてから約2時間で「卵石」についた。見事な造形である。ここで記念写真であ(写真A)後ろの「チトウ」とセットでなかなかのものである。ここから平ヶ岳までは高原の散歩みたいな感じですばらしい。巻機山の景観と似ている。途中の水場でも休憩である。ここでハクサンコザクラを発見。ピンク色したその花は風に揺られている。たくさんの花と出会ったが今日の出会いでは最高の花である。

845分、頂上到着。三角点に挨拶をして記念写真である。(写真B)ここで大休止である。尾瀬方面に目をやるが、ガスがあって中々見えない。少し晴れてきた。燧ヶ岳が見えた。至仏山が見えない。少し待っているガスが切れて至仏山も見えた。会津駒も見えた!。これまで登ったことのある山々が見えて、満足である。

帰りは姫池経由でかえる。「チトウ」がたくさんあり、尾瀬の景観とおなじである。キンコウカが風に揺れている。ここでも平ヶ岳をバックに記念写真である。帰りは早く12時前には登山口の近くにある沢に到着。ここでも大休止である。

21名全員が降りるまではバスが出発できない。バスにはビールが用意してあり、缶ビールが400円である。冷たく冷やしてあり、安い。「旨い」。13時にはバスが出発して14時過ぎに小屋に到着した。伝の助小屋で温泉である。

温泉に満足した私は、「確か情報では露天風呂があるはずだな・・・」と思い、小屋の人に聞いてみると裏にありますとのこと。いったん着替えた私であるが、「されでは」とまた入りなおしである。「ヨシズ」で囲った温泉はまだ「完成品」ではない感じであるが、露天風呂を楽しむことができた。二回目の風呂なので長風呂になり同行した女性たちに「松本さん覗くよ・・・」と驚かされて風呂から出てきた。みんなを待っている間、バスを運転してくれた「おじちゃん」と立ち話である。

今回の登山道は実は30年くらい前にできていたらしい。平ヶ岳の「生態調査」と言うことで、奥只見山岳会が切り開いたこと。林道も前は開放していたが、栽培している山菜、茸などが持っていかれてしまい、村の人が自衛のため閉鎖することになったこと。登山者のマナーが悪いらしい・・。今回の登山は素晴らしいものになったと同時にもう一つの大切なものを私に与えてくれた。

小屋の温泉に入っているとき、先ほどの81歳の「おじいちゃん」と二人きりで入っていたときである。「私は兵隊に行っていた・・」「無線の技術をもっていたのでその任務についていた」「外地にはいったんですか?・・・」「外地に行く予定だったが船なく行けなくなった」「外地に行かなくて良かったですね・・」などと話していた。まだ現役で塗装の仕事をしていることもわかった。まだ百名山まで少し残っているのでがんばりたいと意欲満々である。

最後に「81歳まで生きてきていろいろあったでしょ・・」「つらいこともあったのでは・・」と話すと、少し考えて「兵隊に行っている二年間・・・・」と語り始めた。最後の言葉が私の胸に迫ってきた。「兵隊の二年間だけは嫌だ」。つらいことがあったのだろう。登山は平和でなければできないスポーツと言われている。私も子供が結婚して孫が生まれてもおかしくない。子供、孫までこの豊かな自然と「平和」を残さなければ・・・・。

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埼玉県戸田市在住 戸田山学会は(山・登山・ハイキング・ウォーキングのサークル)

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